最果て(漫喫)

家は好きだ。でも家に一人でいるときは本当にひどい気分だといつも思う。

寂しいってことなのだと気づく。人は誰かの存在を感じたくなったり誰かに存在を感じてほしくなったりしたときの気持ちを寂しいと表現するものだと知っている。しかし寂しみの当事者になった自覚は全くと言っていいほど無い。寂しい。私が。ふむ、人は、寂しいと思うものなんだね。

こういうときはいつも宛てもなく歩く。街行く人たちの談笑や車の排気音、夜更けまでやっているお店の明かりを気が済むまで浴びたら、少し身体が温かくなる気がする。

しかし昨日はもう少し足も手も伸ばして、漫画喫茶に行った。漫画喫茶は良い。独りの自分が保たれたまま、そこかしこに誰かの気配を感じる。誰かの寝息さえ聞こえる。そういった空間は意外と他にはない。それに漫画も読み放題だ。共感の伴わないNANAは他人事だがそれなりに笑えなくて、良い意味で心がざわつく。

少し疲れたと思って退店すると、午前4時だった。とぼとぼと帰路に就く。家に着いたらすぐに眠れる気がして、心は軽かった。良い夜を過ごした。また行きたい。